アメコミ版鉄人28号


以前紹介した韓国語版水滸伝マンガもレアなアイテムだが、同じくらいレアな
アメコミ版鉄人28号を紹介しよう。

(追記)
『トンデモマンガの世界』によると、この作品は光プロの許可を取らない海賊版。
「Mitsuteru Yokoyama」と作者名が書いてあったので許可を取ったものとばかり思っていた。
光プロは訴えたそうだが、光プロはアメリカに支店があるわけではなく法律の条件を満たさないため、
訴えは通らなかったとのこと。


 原作: Ted Nomura 絵: Ben Dunn
 出版社: Antarctic Press(2006/03)
 タッチは日本のマンガで塗りはアメコミ。

日本では作者名がベン・ダンと紹介されている。ただし台湾系アメリカ人なのでベン・ケ(ドゥン)かもしれない。もっと正確に発音するなら「ドゥ」の部分を一音で発音する。


原作版 アメコミ版
鉄人28号 GIGANTOR
金田正太郎 Jimmy Sparks
金田博士 Dr. Sparks
敷島隆博士 Dr. Bob Brilliant
大塚署長 Inspector Ignatz Blooper
村雨健次 Dick Strong
ブラックオックス IRON OX

村雨竜作と不乱拳博士は未登場

 たぶん、昔アメリカで放映されたモノクロアニメの「鉄人28号」の
キャラ名を使っているんだろう。

 冒頭部、第二次大戦中に孤島にあるロボット開発を進める日本軍の秘密
研究所が爆撃される。ここは原作どおり。こうして鉄人28号は未完成の
まま破壊される。でも、日本軍の秘密研究所で外人のSparks博士とBrilliant
博士がなぜ働いているのか不明。(アメコミ版の名前では馴染みがないの
で以下は原作通りの名前で書く)


(小さくて見えないが設計図には日本語で「鉄人28号」と書いてある)


 ここからは原作を離れ舞台はアメリカになる。
 戦後、金田博士と敷島博士は《世界正義同盟》(THE WORLD JUSTICE LEAGUE)
のもとで働くことになる。この組織は国連と関係あるようだがはっきりしな
い。後半で「2000年」の記述があるので戦後半世紀は過ぎたようだが、
敷島博士は若作り!
金田博士だけふけている。結果、正太郎君は金田博士のになってしまった
(両親はすでに死亡)。ちなみに村雨健次は《世界正義同盟》
の工作員で、はじめから正太郎の仲間。


(村雨健次と戦後の敷島博士。女性はオリジナルキャラで村雨の同僚Emma East)

 そして二人の博士は悪の組織《鋼鉄帝国》(THE IRON EMPIRE)と戦うため
ロボット開発をおこなう。こうして27体の試作ロボットを作ったのちに満足
のいく28番目のロボットGIGANTORが完成する。
 ってことは戦時中に開発していた《鉄人28号》とGIGANTOR(つまり鉄人
56号)は別物! 実際、司令官らしき人が敷島博士に「莫大な金と研究を
開発につぎこんだのに、子供に操縦させるのか」と文句をいうのだから、戦
時中の《鉄人28号》の復元ではない。せいぜい、基礎理論と外観が同じぐ
らいか。

 そして正太郎君。初登場時9歳、現在12歳。。ショタコンのお姉さんが
萌えそうにはない。今のところ銃を撃ち車を運転するシーンはなし。


(見てのとおり金田正太郎と大塚署長と鉄人。コマによって鉄人は両目の間に鼻のある変な顔になる)

 敵の《鋼鉄帝国》は少年物のお約束通り、資金源、兵隊の雇用方法、巨
大ロボの製造地は一切不明。
 ほとんどのロボットは原作と無関係のオリジナルだけどブラックオックス
は出てくる。でも、このブラックオックス空を飛ぶぞ! いいのか?
今回数ページ登場してすぐに消えたので、原作にあるジャミング機能と熱線
を発射できるかは不明。
 モノクロアニメ版オリジナルの設定の南極オラリス国とその国のマンモス
コングらしきロボットも出てくるが、モノクロアニメは見たことがないので
不明。


(鉄人VSブラックオックス)

 ストーリーは良くも悪くも単純なので、深みもない代わりにわかり易く
テンポよく進む。
 なお、このマンガは第1巻なので話は完結してない。

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