このサイトの目的とは全然違うものなのでおまけということで載せました。
キース・ロバーツ(Keith Roberts )の名前を知ってる人は相当なSFマニアでしょう。
60年代SF10傑のなかに代表作の『パヴァーヌ』が入ってるし、アントニー・バージェスが好きな小説百作のなかにもSFではたった二作カート・ヴォネッガットの作品とならんで『パヴァーヌ』が入ってた(ちなみにミステリは007シリーズの一作だ
け)。マニアには評価のあるものの、ディープなイギリス指向の作風がアメリカでは受けず、究極の渋さとまでいわれる作風のためファン受けしにくいんだ。
翻訳も長編は『パヴァーヌ』だけ、短編は雑誌どまりか、アンソロジーの中の1作扱いで日本ではきちんとした紹介がないし。
『パヴァーヌ』の話だってエリザベス1世が暗殺されたことから歴史の流れが変わりスペイン無敵艦隊がイギリスを占領し、宗教改革は失敗。結果、カトリックが強大な権力を持ち地球の大部分を支配し科学技術の発展を押さえたため、舞台となる20世紀でも原始的な蒸気自動車や異端審問官が健在で、その抑圧に流されるあるいは抵抗し改革を求める人々が物語を作るという渋い渋い話。
なお『パヴァーヌ』は邦訳もあるが今は亡きサンリオSF文庫より出ていて他社から再版されないため文庫本なのに古本屋で6千〜8千円という高額で売られてる。
アマゾンのサイトで原書買ったほうが早くて安いけど、なまじ文章がうまいぶん読むのが難しい。
(追記)2000年に扶桑社より復刊しました
ためしに『パヴァーヌ』の「白い船」より
The bay was black; black because there a seam of rock
that was nearly coal burst open to the water and
the sea had nibbled in over the years, picking and
grinding, breaking up the fossil-hidden shale to a fine
dark grit, sprending it over the beach and humped, tilted
headlands.
(拙訳)
湾の色は黒かった。黒さは水辺の石炭がかった薄い岩の層のた
めであり、海は長年にわたり侵食し、化石を含んだ泥板岩を堀り、
削り、砕き、細かな黒い砂利へと変え、浜や盛り上がり傾げた岬
へと押し広げていた。
こんな表現がえんえんと続いてきついんだょ。
せめて著作権の問題がなけりゃ『パヴァーヌ』のかわりに、おれが訳した魔法少女物の『アニタ』の1話をここに載せたいけど(でも訳文の日本語がこなれてないからかなり手直しいる)。
そうそう、ロバーツはイラストレーターも兼ねていて自分の本にイラストを描いてるけどさすがに翻訳を読んだ人はいても絵を見た人はまずいないだろうからおまけで載せとく。
うまいんだか、へたなんだかわからん絵を描く人だ。
でも右側の絵のように上向きの顔を描くのってデッサン力がいる。模写して失敗した俺がいうんだから間違いない
Keith John Kingston Roberts 9/20/1935-10/5/2000
タイトル | 内容 | |
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1965 |
作品No24によるとこれがデビュー作。アンソロジーNew Writeings SF3の1話 今まで雑誌に掲載されたアニタがデビュー作といわれてたが、詳しい人情報を請う。 |
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1966 |
パニック物。核実験の影響か(途中までしか読んでないのではっきりとはわからん)
巨大スズメバチ各地を襲う話。 俗な設定のわりに妙に静かな印象 |
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1968 |
代表作。連作短編集。今でもイギリスやアメリカではロバーツはパヴァーヌの作者と
いう扱いで他の作品が無視されてしまう。余談だがパヴァーヌとはフランスの宮廷音楽の一つ この中のWhite Boatは後から追加されたもの。 |
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1970 |
テレパシー物。 | |
1970 |
連作短編集。イギリスのカントリーガールで天然ボケの魔法少女アニタのお話 この中の「ティモシー」は翻訳あり。最終話Chekoutは後から追加されたもの。 |
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1971 |
古代ローマを扱った歴史物 | |
1973 |
短編集 | |
1974, 1976 |
連作短編集。例によって渋そうな話だが難しくてきちんと読んでない。 この中の「神の館」「猿とプールとサール」は翻訳あり。 |
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1976 |
短編集 | |
1977 |
短編集。この中の「深淵」は翻訳あり。 | |
1979 |
短編集 | |
1980 |
近未来のイギリス物。 | |
1985 |
連作短編集。ファンタシーとSFの境界線的作品。パヴァーヌ以来の力作との評価。
第1話のカイトマスターしか読んでないので未詳。(たまにはきちんと読め) この中の「カイトマスター」は翻訳あり。 |
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1986 |
連作短編集。主人公ケーティーが毎回違う設定で活躍する話。 2百部の限定版には著者のサインと追加の話1篇。 |
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1986 |
短編集。 | |
1987 |
パラレルワールド物? 主人公のアリステア・べヴァンというのは作者の別のペンネーム(笑)。
250部の限定版には著者のサインと詩集1冊が付録。 題名はゲール語で憎悪、醜悪、恐怖のこと。わざわざ英愛辞典で調べた。 |
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1987 |
詩集。作品No16の限定版の付録。 | |
1988 |
小冊子。P. H.とはPrimitive Heroine(作者の造語らしい)のこと。 簡単に済ませば溌剌としたヒロインの考察ってとこかな? |
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1989 |
非SF、非ファンタジー。つんどくのままでまだ読んでません(^^; 250部の限定版には著者のサインと旅行エッセイ1冊が付録。 |
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1989 |
アイルランド物。作品No20の限定版の付録。最後に次回作はGráinneという題に しようとあるので、この原稿はGráinneより前に書いたとわかる。 | |
1989 |
小冊子。 | |
1989 |
短編集。 250部の限定版には著者のサインと追加でNo21のThe Eventが収録。 この中のSusanは過去にアリステア・べヴァン名義で発表したもの。 作者がSusanのイラストを書いてるがこのみじゃない(^^; この中の「スーザン」は翻訳あり。 |
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1992 |
連作短編集。No14の続編。 150部の限定版には著者のサインと追加の話2篇。 |
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1997 |
半エッセイ的小説。 |